会田薫先生の
「梅鴬撩乱-長州幕末狂騒曲-」1巻を読みました。
下関の郭を舞台に遊女と高杉晋作、
ふたりの目線で描かれる幕末ロマンです。
「梅鴬撩乱」で検索して下さいね。
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梅鴬撩乱 のあらすじ
馬関(下関)にある郭、堺屋。
容量が悪く知恵の働かない遊女、
此の糸は姉芸妓である琴乃の代わりに
どんちゃん騒ぎをしているお座敷に入ります。
客たちはすでに酔いつぶれていましたが、
一人だけ三味線を弾く若い男がいました。
男の前で三味線を鳴らす此の糸。
そのたぐいまれな音色に男は色めき立ちます。
此の糸は店でも一目置かれるほどの三味線の名手だったのです。
ふたりで三味線をかき鳴らし改革の夢を見る男。
その男とは長州藩の高杉晋作でした。
世の女たちが笑って過ごせるお国にするのさ、
と夢を語る高杉に此の糸は微笑みます。
生涯をともにするふたりが出会った瞬間でした。
幕末物を普段読まないので
なかなか読み進めることが難しく、
出てくる登場人物を片っ端からネットで検索しつつ読んでみました。
此の糸の本名は“うの”というのですが
実際に高杉晋作の妾として存在する女性なんですね。
実話をもとに描かれている作品です。
同じ長州藩の久坂玄瑞、赤根武人らが出てきます。
細部まで描かれた作風は好みが分かれるところかもしれません。
私はかなり好きなタッチでした。
芸妓さんたちが妖艶で、
また幕末の志士たちは男前に描かれています。
後半は此の糸が父親に堺屋に売られるところが中心です。
うのは11歳で妓楼に売られてきました。
母親はすでに死に、
うのは母の形見である三味線を大事に抱えていました。
“ぽん太”とう名前を与えられたうのは
先輩芸妓の琴乃に面倒を見てもらいます。
なかなか妓楼に慣れないうのは脱走を図ります。
父親を探しうろつく内にうのはちんどん屋の一行に出会います。
ちんどん屋と一緒に三味線をかき鳴らすうの。
廓に連れ戻され罰として簀巻きにされてしまうですが、
三味線を奏でる喜びに目覚めたのでした。
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梅鴬撩乱 のネタバレと感想
時は過ぎ、うのは晴れて独り立ちの日を迎えます。
ポン太から此の糸に名を変え水揚げの日が近づいてきます。
廓では水揚げの相手に大店のご隠居にお願いしていますが、
いざその時になると此の糸は布団の中から逃げ出してしまいます。
廓の外に走り出た此の糸は
以前にも見かけた脚を引きずる、
父親似の男を見かけこの人じゃないと嫌だとごねます。
しぶしぶ引き上げるご隠居と、いやいや水揚げを引き受ける男。
その夜、少女から女になった此の糸は閨で三味線を鳴らします。
その音色に男は忘れかけていた絵を描く創作意欲にかられるのです。
この男もまた高杉晋作同様、
此の糸の三味線に心を揺すぶられたのです。
その後、姉芸妓の琴乃も客に恋慕したあげく
廓を脱走するという事件を起こし、
此の糸は折檻されてもなお琴乃の居場所の口をつぐんだり
という出来事があります。
彼女らは廓にいて一夜の偽物の愛を提供するからこそ、
本当の愛を欲してやまないのです。
遊女の悲しい身の上を語るエピソードです。
さらに時は過ぎ、廓で琴乃は赤根武人の相手をしています。
彼は高杉晋作が立ち上げた奇兵隊の総督を受け継いでいました。
そして高杉晋作は自らが立ち上げた
奇兵隊の総督を更迭されたのち脱藩の罪で投獄、
出所し実は馬関に戻ってきていました。
長州藩内でも保守佐幕派と革新派とで
反発し合っていましたが、
革新派が失脚し保守派の勢いが増していました。
赤根武人は奇兵隊の総督として正俗合体を唱えていました。
そして高杉晋作は正俗合体には賛成出来かねる様子。
因縁の堺屋にて赤根と高杉は再び会いまみえるのです。
幕末の話ゆえに、難しい言葉がたくさん出てきます。
その一つひとつが分からなくても
作画が上手なので登場人物の表情などから内容を理解することが出来ますね。
そして幕末に俄然興味が湧いてきましたよ。
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梅鴬撩乱 まとめ
のちに此の糸は高杉晋作に身受けされ生活を
ともにするようなのですが、
高杉自身が29歳で生涯を終えていることを考えると
蜜月はそう長くは続かなかったのでしょうね。
これは続きが気になります。
「梅鴬撩乱-長州幕末狂騒曲-」は5巻まで出ています。
幕末を良く知らない方にもぜひ読んで頂きたい作品です!
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