長谷川ろく先生の
「KEMARI」分冊版1巻を読みました。
平安時代の貴族の遊び、
蹴鞠の技を極めたいと願う若者の物語です。
「KEMARI」で検索して下さいね。
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KEMARI のあらすじ
平安の都、主上が催した蹴鞠会にて見物する人々の中に、
目を輝かせて見守る一人の男の子がいました。
蹴聖と呼ばれた藤原成道の息子、泰申(やすのぶ)です。
父である成道は法皇様から賜った着物も美しく、
まるで踊っているかのように毬を蹴り上げます。
いつか父のような立派な毬足(まりあし)に
なりたいなぁと憧れてやまない泰申でした。
時は過ぎ、泰申はすでに元服も済ませ
朝廷で小内記という仕事をしていました。
もちろん、蹴鞠への熱意は冷めるどころか熱くなるばかりです。
実は泰申は成道の本当の子供ではありません。
拾われてきた子供なのです。
泰申もその事実は知っていますが
成道は本当の子供のように育ててくれています。
また、血のつながりがないことは周囲には秘密となっているのです。
もしも誰かが気づいたとしても
私の技芸を見せれば誰も疑わない、と泰申は言います。
自身の蹴鞠の技にかなり自信をもっているので、
それを見せれば蹴聖 藤原成道の子供だと
みなが認めるに違いない、ということなのです。
この心のおごりを成道は心配しています。
いつかその過信が悪いことを呼ばなければよいが…と。
面白いですね~。
オープニングの蹴鞠のシーンからワクワクします。
長谷川先生の作品は初めて読みましたが、
伸びやかな線のタッチがとても私好みです。
ある日、泰申が仕事をしていると
中庭で蹴鞠をしている集団がありました。
大伴少納言の集団です。
実は松葉様という女性に
自分の勇姿を見せてやりたいと画策し、
松葉嬢の部屋前でわざと連日蹴鞠をしているのです。
平安貴族のやりそうな事ですね。
ところがうっかり蹴った毬があらぬ方向へ…、
そこにいたのは沢山の書簡を盆に乗せて運んでいる泰申でした。
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KEMARI のネタバレと感想
毬がぶつかる寸前、
泰申はひょいと毬を蹴り上げ
抜群の足技で大伴少納言の足元へ返します。
もちろん、書簡をひとつも崩すことも落すこともなくです。
大伴少納言をはじめそこにいた全員がその華麗な足技に驚きます。
松葉嬢は思わず御簾から出てきて
そなたすごいのう…と声をかけます。
こんなもの、馬糞をまたぐより簡単です、とにっこり笑う泰申。
女性の前で大変失礼な事を言ってしまったと
あわてて口をつぐみますが、
松葉嬢は笑って花の枝を泰申の髪にさしてくれました。
面白くないのは大伴少納言です。
唇をぎりぎり噛んでくやしがっています。
これはねちねちと仕返しされるパターンの気がしますが、
当人の泰申はひとりで考えます。
自分はうますぎるんじゃないだろうか…
でももう一度父上の蹴鞠を見たらもっと上手くなれるような気がする…。
やっぱり自分の技に酔いしれているんですよ。
気持ちの面では大伴少納言とどっこいですね。
そしてやはり翌日、待ち伏せていた大伴少納言に
いちゃもんをつけられます。
そんなに自分の技に自信があるのなら
朱雀門の屋根にて興じてみせよ!
さすれば無礼も許してやろう!と言うのです。
ところが日頃木の枝の上で毬を蹴ったりしている泰申にとって、
朱雀門は高さがあるとはいえなんてことない足場です。
すぐに華麗な足技を眼下のギャラリーたちに見せつけます。
さすがに父ですら朱雀門の上で蹴鞠ったことなどあるまい、
と考える泰申ですが同様に泰申は父のように主上の前で蹴鞠ったことがありません。
いつか主上の前で蹴鞠をし、父を超えることが泰申の目標なのです。
そう考える泰申を見守る精霊のような存在がありました。
そしてもう一人、泰申の足技を見込んだ男がありました…。
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KEMARI まとめ
と、分冊版1巻はこの辺で終わるのですが、実に面白いです。
あの、精霊のような存在は?
泰申は成道を超えられるのか?
続きがものすごく気になります。
これは…大人買いの予感です。
「KEMARI」は分冊版で4巻まで出ています。
平安時代を良く知らなくてもその世界にはまれます。
本当に面白い作品でした。
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