大和和紀先生の
「にしむく士」を読みました。
時は江戸時代、
武士の半四郎は妻のゆきえと赤ん坊の太郎と共に、
房州佐倉の田舎から江戸の都会へやってきました。
領国橋を渡ればそこは大江戸、江戸の西には富士の山!
そのまた西には天子さまがおわす…、
なんとなくすてきな都会暮らしが始まる予感…!?
「にしむく士」で検索して下さいね。
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にしむく士 のあらすじ
田舎で義兄上の部屋住みだった仲村半四郎達一家3人は、
伯父上のあとを継いで御徒組にご士官、
今日から大江戸市民!
華やかな都会暮らしが始まる予感を
抱いてやってきました。
御徒組とは将軍さまのお出ましの際に、
徒歩でつき従う役目の下級武士のことです。
新しい住まいは御徒六番組の組屋敷。
田舎の家よりは狭いけれども、
町のルールはちょっと面倒くさいこともあるけれど、
新生活への期待感が伝わってきます。
半四郎の上役にあたるのが組頭の尾花兵庫。
七十俵五人扶持の同心です。
なにやら侍らしからぬ風貌に言動で、
最初はとまどう半四郎とゆきえですが、
尾花さまの底知れぬ魅力のようなものに
次第に感化されていくのです。
尾花さま夫婦はなんとも不思議な関係です。
夫は月番のお勤めのとき以外は
あまり家にも帰ってこないでふらふらと出歩いています。
そして妻は特に咎めることもせず
笑って迎えるような人。
彼らには千春と新之助という
かわいらしい盛りの子供もいます。
月代が総髪になるほど遊び歩いているかと思えば、
いざというときにはいつもの糸目の顔も見違える表情を見せ、
剣の腕もピカイチの尾花さま。
そして彼が発する言葉には時折、
モノの真理をついたようなするどい洞察が垣間見え、
そんな尾花さまにはなんとも言えない
人徳のようなものを感じてしまいます。
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にしむく士 のネタバレと感想
ゆきえ達が初めて富士山を見て思わず手を合わせたとき、
田舎者丸出しかしらと気にしていましたが、
尾花さまだって富士山を見たらおがんどくと言います、
そうするとカミさんのきげんがいいような気がして…と。
富士山はヤマの神ですからね…という意味が
最初は理解できていなかった半四郎達ですが…?!
半四郎とゆきえは夫婦になって早1年。
祝言をあげたのは2年前で19才と17才の時でした。
下級武士の二男坊と庄屋の娘という二人、
田舎では道場の師範代をして暮らしていました。
そう半四郎は町道場がひらけるほどの剣士なんです。
しかし江戸に出てきて御徒組として仕えられると喜んでいたものの、
供奉するお役目は年に一度あるかないか。。。
天下泰平が続いてもう200年、
幕閣で活躍するのは算術や政治に強いものばかりで、
武芸系なんてもはや無用なのだと落ち込む半四郎。。。
…そういう時代の移り変わりの時なのですねぇ、
焦る気持ちもわかります。
思わず尾花さまに、
「武士にとってたいせつなこととはなんなのでしょう」
と問いかける半四郎。
尾花さまのこたえは、
「おかかを笑わせるにはしかず…ですよ」と。
それを聞いて最初は妻の機嫌をとるなんて!と
反発していた半四郎ですが、
江戸の人々の様子を見聞きしていくなかで、
“よく笑う元気で働き者のかみさんが家にいる、
それこそ百万石にも勝るお宝”
という意味を深く思い知ることとなるのです。
…なかなか深いお話です。
ゆきえの方も江戸の町衆から
いい意味でカルチャーショックを受けていきます。
女だって働いてますから亭主だっていばらせちゃいません。
着せて食わせて子供も産んでやって貧乏人のかかあはたいへんです。
それでも!
ジメジメしてちゃお天道さんのバチがあたる。
“たとえ亭主が貧乏でもいつでも笑ってあったかいもん食わせてやる、
それが江戸のかかあの心意気ってやつでさ”
そういう江戸の奥さんにはなんだか心の真ん中に
すこーんと響くものを感じてしまいましたね。
ゆきえも、
陽気で頼もしくて親切で…
そんな江戸のおっかあのようになりたいと、
気持ちを新たにするのでした。
私たちがよく見聞きする江戸時代等のお話は、
その多くは国を動かしたような偉人を取り扱ったものです。
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にしむく士 まとめ
この作品はその他おおぜいの下っ端武士に焦点を当て、
江戸時代の庶民ざむらいの生活を
よくあるカップルを通して描いています。
その中身を知れば現代人と似ている
江戸の人々が見えてきました。
だからかとても共感できてほっこりできる物語になっています。
「にしむく士」は5巻で完結しています。
「にしむく士」は江戸時代の庶民の生活が垣間見られる作品でした!
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