川原泉先生の
「ブレーメンII」を読みました。
西暦2306年の世界、女性にして最年少の一等航宙士
キラ・ナルセが乗り込んだ最新鋭の宇宙船では船員がみな動物でした!
川原先生独特の視点で描くSFファンタジーです。
「ブレーメンII」で検索して下さいね。
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ブレーメンII のあらすじ
キラ・ナルセ一等航宙士は
通称イレブン・ナインと言われる優秀な宇宙飛行士です。
99.999999999%という9が11も続くほど誤差が少なく
厳密という意味なのです。
彼女はこのほど星間企業スカイ・アイ社が保有する大型輸送船
「ブレーメンll」のキャプテンに就任しました。
初めての船長業務に浮かれるキラですが、
実はその船の乗組員は全て動物でした。
モーゲンスターン博士という人が
人手不足の切り札として人間世界に送り出した働く動物たちなのです。
川原泉先生ですよ。
この作品は「空の食欲魔人」(白泉社文庫刊)という本の中に収められている、
「アンドロイドはミスティ・ブルーの夢を見るか?」という作品の続編です。
本作に出てくるスカイ・アイ社の社長ナッシュ・レギオンと
お手伝いのロボットナッシュ・コピーが出てきます。
多忙で冷徹なナッシュ社長が
キラの乗る輸送船に勝手に乗り込み騒動を起こす、
というお話でこちらもとても面白いので
本作を読む前に読んでおくと楽しさが増すと思いますよ。
さて、輸送船の船員が動物たちだったことにキラは驚きますが、
そこはイレブン・ナインと言われる切れ者です。
すぐに動物たちに的確な指示を与えいざ出航します。
動物とはいえみな人間型をしていて
真面目で一生懸命、知識も豊富でとても善良です。
むしろ人間よりも優れているのでは、
というくらい気高く優しい心を持っているのです。
出航した一行が最初に出会うのはリトル・グレイという火星人です。
この火星人はそのあともずっと船に住み続け要所に出てくる
ものすごくふざけた生命体です。
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ブレーメンII のネタバレと感想
その後、グリーンピースの活動に感銘を受けた青年が動物虐待反対!
を訴えるために船に無断で乗り込んでいて
船員たちに傷害事件を起こしたり、
囚人を運ぶ流刑船に出くわ
し凶悪犯で元黒ヤギのカインと戦ったり、
次々と騒動をおこしながらも船は航行していくのです。
そしてやはり今回も、スカイ・アイ社の社長
ナッシュ・オリジナルが当然のようにおやつを沢山持って密航していました。
キラの怒りを買い、
社長なのにブレーメンllの甲板員として下働きをさせられるナッシュ。
この2人の掛け合いはほのぼのしてていいですねぇ。
川原先生の作品に共通することですが、
主人公が男だろうと女だろうと
ほとんど性格設定は変わらないような気がしますね。
大体の女の子たちは毒舌でぞんざいな話し方です。
そこに男も女もないのです。
キラも例外ではありません。
だからこそ、キラは船員が動物であろうと差別などしないのです。
目標に向かってつき進む崇高な魂同士ならば、
そこに男も女も動物も人間もないからです。
しかし、そうでない人もいるのです。
ブレーメンllの根底にあるテーマは動物虐待なのです。
人々がみなキラのように達観していれば、
人間がもっと精神的に成長していれば…
そういう事を目の前に突き付けられる作品なのです。
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ブレーメンII まとめ
昔の作品に比べたらシリアスさが増していますが、
やはりそこは川原先生の作品です。
笑って泣いて考えさせられる、すばらしい作品だと思います。
「ブレーメンll」は文庫版で4巻まで出ています。
今まで川原泉先生の本を読んだことがない方にもぜひ読んで頂きたいですね。
もしかしたら人生観が変わるかもしれません。
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