杉山小弥花先生の
「明治失業忍法帖」を読みました。
時代は明治維新、侍の時代と新しい西洋文化が交差する時。
江戸の時代では考えられない恰好をして、
女であっても勉学を極めたいと願う女子、菊乃。
両親から縁談を勧められ、八方ふさがりだった菊乃が考えた策は、
なんと時代の変化によって失業した元忍者、清十郎との婚約!
何百年前から代々続く忍びの血筋を持つ清十郎と、
明治維新の象徴のような女子菊乃の関係は恋に発展していくのでしょうか?!
「明治失業忍法帖」で検索して下さいね。
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明治失業忍法帖 のあらすじ
時は明治。
維新によって武士は士族となり、身分や権力、
物の価値感がすっかり変わってしまった時代。
幕府軍の最後の武士たちは、生き残りをかけ、
最後の闘いへの策を練っています。
そこに、切れ目の涼し気な顔だちの武士が現れ、
逃げて生き延びるしかないと告げます。
死んだ敵軍の洋服を着て逃亡するその武士。
そして時は過ぎ、世の中は維新を成した
薩長出身者が力を握る世の中に。
そこで生きる菊乃は、西洋文化に憧れ、
この時代はまだ女子が行くことがない学校で学びたいと強く願っています。
しかし、両親は縁談話を進め、菊乃の思いに答えてくれません。
その縁談相手というのが、
敵軍の洋服さえ抵抗なく来て、時代の変化も、
また仕方なしという元忍びの清十郎。
なんとか縁談を破談にしたい菊乃は
清十郎に直々に断ってくれるよう言いに来ますが、
清十郎の維新を経て変わった考えを聞くと泣きだし、
最後には清十郎に襲われかけ逃げ帰ります。
清十郎は女の子を襲うような野蛮な人には思えません。
むしろ、何事も諦めているような、
無気力に見せているような印象です。
そのため、清十郎が襲って見せたのは、
外にいた菊乃を狙う元武士たちを足止めさせるためだったようです。
しかし、菊乃は再度身代金目的の元武士に襲われます。
が、それに感ずいていた清十郎が
予め相手の一味に潜りこんでいたため、菊乃は清十郎に助けられます。
その時の清十郎、かなりカッコイイです。
日頃は覇気がない様子ですが、刀裁きは一流のようです。
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明治失業忍法帖 のネタバレと感想
数日後、清十郎のもとを訪れた菊乃。
菊乃は清十郎に、結納の日取りが決まったと伝えます。
驚き、取り乱す清十郎。
どうやら菊乃は、他からの縁談話が来ないようにするため、
すぐに結婚することができない程度の
甲斐性しかない清十郎と婚約する策をとったようです。
忍びであるため本音や正体を隠してきた清十郎。
菊乃に思わずすの自分を見せてしまったことで、
清十郎は菊乃の忍びになることを約束します。
清十郎は菊乃の斬新で
且つ自分にはない物の捕らえ方に心を動かされたようです。
しかし、今度は菊乃の父が結婚に反対をし始めます。
そのきっかけは、ある武士から株の話を持ち掛けられた席の帰りに、
情けない清十郎の姿を見かけてしまったから。
海外との取引の縁を作りたい父にとって、この武士との出会いにより、
清十郎との縁談が不要なものになったのです。
清十郎に怒りをぶつける菊乃ですが、なんとか父の気持ちを変えようと、
元武士の素性を探ります。
そして、その正体が詐欺師であることに気が付いた菊乃。
実は清十郎も内々で元武士を調べており、その正体をつかみます。
それが功を奏し、晴れて婚約となった二人。
婚約席での清十郎の言葉がとても素敵です。
菊乃と清十郎は、盗人を捕まえたり、菊乃が警察の出世頭から告白されたり、
人の恋路に首を突っ込んだり・・・。
菊乃の向こう見ずな行動を、清十郎が影としてカバーしつつ、
キョリを近づける二人。
ラストはそっと手をつなぐ二人。
これから二人はどうなっていくのでしょうか?!
明治維新の時代の用語や、
今は使われない言葉が使われていて、読んでいて、
内容を理解するのに時間がかかる、読み応えのある作品でした。
影として、自分の心をずっと隠してきた清十郎が、菊乃を相手にすると、
自分の気持ちをコントロールすることができない葛藤が丁寧に描かれています。
また、菊乃も幼い時に母を亡くし、甘えることをしないで育ったことで、
強そうで脆い、そんな揺れる気持ちが感じられます。
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明治失業忍法帖 まとめ
この二人のなんとも不器用なお互いへの特別な感情が、
今後恋として自覚していくのか、この先が楽しみです。
「明治失業忍法帖」は9巻まで出ています。
この作品は、複雑な人間性を持った二人の、繊細で大胆な恋が楽しめる作品です!
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